技術指導実績

◆技術指導実績

これまでに実施した技術指導について、過去5年間の主な実績を以下に紹介します。

(1)砂防構造物に関する技術指導

年度 指導題目 担当部 指導内容
2020 新設する不透過型砂防堰堤に流木対策工を付加する方法に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、宮崎河川国道事務所管内の2渓流において新設する不透過型砂防堰堤に流木対策工を付加する方法について助言を行ったものである。対象渓流は常時流水がなく、渓流内は火山灰と軽石のみで礫が認められなかった。一方で、流木容積率は約20%と非常に高く、流木対策のため透過構造が必要であった。このため、既設不透過型砂防堰堤の流木捕捉機能向上を目的として開発された「張出しタイプ」流木捕捉工を新設する方法を提案した。また、「張出しタイプ」流木捕捉工を採用するにあたっての留意点についても言及した。
2020 コンクリートスリットと鋼製スリット(複合構造)の砂防堰堤の水理模型実験に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、①掃流区間においてコンクリートスリットの堰上げ効果による土砂捕捉、②鋼製スリットによる流木捕捉および堆積土砂の二次移動防止、の二つを目的とした複合構造の砂防堰堤の水理模型実験について、指導および助言を行ったものである。土砂捕捉効果の確認実験については、堰上げ効果により堆砂肩が形成されることで、想定どおりの土砂捕捉効果があったことを確認した。流木捕捉効果の確認実験については、流木が数%程度通過したものの、大半の流木は捕捉され、想定どおり流木捕捉効果が確認できた。
2020 主に最下流に設置する鋼製透過型砂防堰堤の設計に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、青森県内の8渓流における新設の砂防堰堤に対し、主に最下流に設置する鋼製透過型砂防堰堤の設計方法ついて、指導および助言を行ったものである。青森県管内の土石流危険渓流の特徴として、礫径が小さく、計画流出流木量が多いことが挙げられる。このような条件下における鋼製透過型砂防堰堤の部材間隔の設定方法や、新設する不透過型砂防堰堤に流木対策工(張出しタイプ)を付加する際の考え方について助言した。また、景観に配慮する必要がある場合において、周辺環境に対して不自然になることなく、環境に溶け込んだ砂防施設の具体的設計手法について助言した。
2020 老朽化した既設石積み砂防堰堤の段階的補強方法に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、和歌山県内の2渓流における老朽化した既設石積み砂防堰堤の段階的補強方法について指導および助言を行ったである。段階的補強方法として、主に5つの工法(①腹付け工および嵩上げ工②堤冠保護工③洗掘防止工④袖部保護工⑤導流工)を挙げ、それぞれの方法に対し補強目的・使用材料・施工範囲の考え方について助言した。また、既設石積み堰堤の安定性の評価方法として、実際の砂防堰堤の破壊事例を踏まえて留意点を挙げるとともに、段階的補強対策の必要性を判断するための施設の安定条件の考え方を提示した。
2020 流木対策工および大暗渠砂防堰堤の水理模型実験に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、満砂した既設の不透過型砂防堰堤に流木対策工を付加する方法および新設する大暗渠砂防堰堤に流木捕捉機能を付加する検討について助言を行ったものである。既設の不透過型砂防堰堤に流木対策工を付加する方法として、袖部と比べて水通し部が長いことから、凸型に流木対策工を配置することにより、見かけ上の水通し幅を広げ、越流しない形状を提案した。また、摩耗対策として必要な鋼管板厚を提案した。大暗渠砂防堰堤の水通し部および暗渠部に流木対策工を付加することによる流木捕捉機能の向上について、水理模型実験においてその効果を確認した。また、流木捕捉工の設計方法にも言及した。
2019 満砂した砂防堰堤に流木対策工を付加する検討に関する技術指導(1) 砂防技術
研究所
 本技術指導は、満砂した既設の不透過型堰堤に流木対策工を付加する方法についてのものである。計画地点付近の元渓床勾配は1/30であるが、現在は堆砂により1/38程度の掃流勾配となっている。また、周辺に土石流勾配を呈する主要支渓も存在しないことから、張出しタイプの流木捕捉工(満砂型)を提案し、構造諸元については掃流区間の流木対策工に準じて設計を行うよう助言を行った。また、本現場は捕捉部材の高さが5mと流木捕捉工としては比較的高くなるため、横倒れ防止のため連結構造(ユニット構造)とすることを提案した。
2019 満砂した砂防堰堤に流木対策工を付加する検討に関する技術指導(2) 砂防技術
研究所
 本技術指導は、満砂した既設の不透過型堰堤に流木捕捉工を付加する方法についてのものである。現地調査の結果、張出しタイプの流木捕捉工(満砂型)を設置するにあたって、計画地点が土石流発生区間に位置することや、河道の湾曲部に位置する等から、流木捕捉工は土石流荷重に耐えうる構造とし、さらに捕捉効果の向上のため、部材を上流に向けて凸形状に設置する提案を行った。また、張出しタイプの流木捕捉工設計時における部材間隔、部材高さの考え方について助言を行った。
2019 未満砂状態の既設砂防堰堤に流木対策工を付加する検討に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、未満砂状態の既設不透過型堰堤に流木捕捉工を付加する方法についてのものである。張出しタイプの流木捕捉工(未満砂型)は本堤と直接接続させるため、本堤の健全度および本堤が土石流対策施設として設計・施工されているかを確認する必要がある。対象の堰堤は旧土石流・流木対策設計技術指針で設計・施工されており、現行指針に則り再度検討したところ土石流時の安定条件を満たさなかったため、本堤と一体で打設された基礎地盤間詰めコンクリートを堤体の一部として安定計算を行うよう提案した。また、部材の間隔や高さの考え方について助言を行った。
2019 不透過型堰堤への流木捕捉機能の付加に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、長崎県内において、地形、施設規模など特徴の異なる6つの既設不透過型堰堤への流木捕捉機能の付加方法について技術指導・助言を行ったものである。対象の堰堤は、設計諸元の他に、土砂・流木整備率、堰堤の健全度、アクセスの難易度、下流流路の状況などに違いがあり、これらを考慮し適用すべき流木対策について、考え方および設計方法の助言を行った。また、既存技術の適用が難しい堰堤においては新たな流木捕捉工を提案した。
2019 既設砂防堰堤に流木対策工を付加する検討に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、既設の不透過型堰堤(2基)に流木捕捉工を付加する方法についてのものである。対象の堰堤は満砂状態にあり、①堆砂敷の許容支持力が得られない②直径1.0~1.5mの水抜き暗渠が複数あるといった条件から、堆砂敷を掘削して張出しタイプの流木対策工(未満砂型)を設置する提案を行った。さらに、張出しタイプの流木対策工設計時における計画捕捉流木量、施設の配置方法、荷重条件の考え方について助言を行った。
2019 堆積工および小規模渓流対策工、人工地山の計画に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、福島県内の合計6渓流における砂防堰堤について、主に最下流に設置する透過型砂防堰堤の前庭部に設置する堆積工、および小規模渓流対策工の設計方法に関するものである。主に透過型砂防堰堤の前庭部に堆積工を設置する際の設計に関する考え方や、対象土砂量が1,000㎥以下の場合に適用する小規模渓流対策工に関する施設設計方法、および人工地山の考え方について、助言を行った。
2019 土石流区間に位置する水系砂防施設の改築に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、土石流区間に位置する連続した既設不透過型堰堤(ハイダム)2基について、流木捕捉機能付加の設計に対するものである。両堰堤とも水系砂防施設として設計された不透過型堰堤であり、改築には用地買収不可、水通し断面の不足および拡幅不可等の制約があった。技術指導では上記の制約条件、水系砂防施設かつ土石流区間であることを考慮し、上流側堰堤と下流側堰堤で違う改築方法を提案した。上流側堰堤は土石流形態で流下しない区間でも土石捕捉機能を発揮させるように部材間隔を最多礫径帯の最大値とする改築が適切であり、下流側堰堤では水系砂防施設としての機能を保持するように、水通しを拡幅するとともに張り出しタイプの流木捕捉工の設置を提案した。
2019 コンクリートスリットおよび鋼製スリットの複合構造の設計に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、現河床勾配1/45の掃流区間においてコンクリートスリットの堰上げ効果による土砂捕捉と合わせて、後続流や常時流水における堆積土砂の二次移動を、コンクリートスリット内に設置した鋼製スリットにより防ぐことを目的とした複合構造の砂防堰堤の設計に関するものである。コンクリートスリットと鋼製スリットの役割の違いを踏まえ、適切にコンクリートスリットの幅、対象礫径、鋼製スリットの部材間隔、作用する外力、堤高および水通し幅などを設定するよう、設計の考え方について助言を行った。
2019 不透過型堰堤(ハイダム)の透過型への改築に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、既設不透過型堰堤(堤高15.0m)の透過型堰堤への改築方法に関するものである。堰堤の改築の目的は、土砂整備率及び流木整備率を100%とすることであり、支持地盤がD級、CL級の岩盤であることから、不透過型堰堤のまま嵩上げすることはできないため、透過型堰堤として改築できるかについて指導した。透過型堰堤の設計では動水圧や揚圧力といったH=15m以上の不透過型堰堤(ハイダム)の設計で考慮する荷重は作用させないことから、堰堤の高さが15m以上となる箇所を透過構造とし、残りの不透過部を高さ15m未満とすれば全断面においてH=15m未満のローダムの設計の考え方で統一できるなどの助言を行った。
2019 張り出しタイプの設計に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、2基の既設不透過型堰堤における流木捕捉機能の付加に関して、張り出しタイプの流木捕捉工の設計について技術指導を行ったものである。1基目については、流木止めとして必要な高さや、安定計算の照査内容など、主に張り出しタイプの流木捕捉工の設計の基本的な考え方について助言を行った。2基目については、外壁に擬岩を使用している景観に配慮された堰堤であることから、張出しタイプの流木捕捉工の基本的な設計方法に加えて、堰堤本体同様に塗装の方法、表面の凹凸の工夫、部材間隔を不規則にするなど、景観を配慮する方法についても助言を行った。
2019 小規模渓流対策の考え方を取り入れた土石流対策に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、小規模な土石流危険渓流に計画した新設堰堤に関するものである。計画地点は明瞭な谷地形を有し、常時流水も認められることから、水通し断面を設け堰堤下流の洗掘対策を講じた上で袖部の嵌入を人工地山による対策とするなどの小規模渓流対策の考え方を取り入れるように提案した。また、土石流対策では非越流部の天端厚は3m以上の確保する必要があるが、安定計算および構造計算を満たせば3m未満でもよいとするなどの助言を行った。
2019 流木捕捉を目的とした透過型への改築に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、流木捕捉機能付加を目的として不透過型堰堤から透過型堰堤への改築の設計方法に関する技術指導を行ったものである。対象の堰堤は袖部を越流した履歴があり、流量を処理するため、透過型への改築でよいこととした。流木対策が目的であるため、部材間隔は流木を捕捉する間隔(流木長の1/2)かつD95を透過させる間隔(D95の2倍以上)とした。また、堰堤上流側200m区間は、三面張の流路を含むもので河床は固定されていることから安定計算は越流部、非越流部ともに土石流流体力も対象とする助言を行った。
2018 内手川第3砂防堰堤 非越流部の鉄筋コンクリート構造に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は,利根川水系砂防事務所管内で実施された砂防堰堤を鉄筋コンクリート構造とする設計調査に対して,設計手法を評価するものである。一般に鉄筋コンクリート構造は無筋コンクリート構造より断面が小さく、コスト面で有利となる。そこで、透過型堰堤に非越流部を鉄筋コンクリート構造とした場合の鉄筋量の求めた方について、従来の鉄筋コンクリート構造に加えて、巨礫の衝突に対する設計の考え方を示し、使用する鉄筋量および鉄筋径について助言した。また、断面および材料をもとに算定されるコストに加え、施工手間に対して施工業者へのヒアリングの必要性など、将来の鉄筋コンクリート構造の導入に必要なデータ収集についても助言を行った。
2018 レジリエンスな砂防堰堤設計手法に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は,湯沢砂防事務所管内で実施された打継ぎ目形状の違いによる安定性・施工性の比較調査に対して,調査内容の評価および強化策に対して助言をするものである。近年,計画規模を越えるような集中豪雨等によって発生する土石流により,重力式コンクリート砂防堰堤が打継ぎ目で破壊される事例が見受けられる。そこで事務所管内で打継ぎ目形状を凹型・凸型・L型とした場合と,水平打継ぎ目に鉄筋を挿入した場合の試験施工を実施することとなった。この施工に際して設計の考え方を評価するとともに,施工時の留意点や,H鋼による補強などの打継ぎ目強化策に関する着目点・評価手法について技術指導を行った。
2018 流木捕捉工に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、比較的新しい既設不透過型砂防堰堤に流木捕捉機能を付加する設計に対する技術指導である。H28年度の土石流・流木対策設計技術指針解説では計画捕捉量の2%以下であってもその半分は流出するため、最下流の堰堤では流木捕捉機能をもつが砂防施設が必要となった。技術指導では、完成している既設堰堤については張り出しタイプの設置、施工中の堰堤については部分透過もしくは全透過へ設計変更することを提案した。また、張り出しタイプを設計する際の、既設堰堤の安定計算の考え方や荷重条件、計画流木捕捉量の考え方、部材間隔および必要高さ等について、天竜川上流河川事務所で2基、大分県で15基の砂防堰堤について技術指導を行った。
2018 砂防堰堤の配置・構造に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、小規模渓流で下流直下に保全対象がある砂防堰堤の設計についての技術指導である。流域面積は0.044km2および0.032km2の隣り合う2渓流で、渓床勾配i=1/1.6~1/3.7の土石流危険渓流である。堰堤は開口部をできるだけ広く確保した透過型とし、中小出水時と洪水時で流下断面を区別し、メンテナンスをし易くするように透過部を複断面とした。保全対象が堰堤設置箇所直下にあるため先行流の通過による被害も想定し、渓流1は堰堤直下に堆積工を設置することで防止することとした(渓流2は窪地があるためそこに溜まると判断した。)また、袖を地山に嵌入しようとすると袖折れ構造となり不経済であるため、袖の嵌入は掘削で発生する土砂をソイルセメントとして活用した人工地山を適用することで、コストにも配慮した計画となるよう助言を行った。
2018 大型砂防堰堤の嵩上改築に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、特殊な事例である大型砂防堰堤(栃平砂防堰堤)の嵩上改築に伴う詳細設計に関する技術指導である。暫定計画により施工した砂防堰堤を、嵩上げにより完成形として施工するため、嵩上改築する砂防堰堤を現基準に適合した構造で、かつ安全で的確に施工するための設計を行うことを目的として技術指導を行った。また、設計審査会に参加し、技術的な助言を行い、適切な委託成果の検収に資するようにした。
2018 鋼製透過型砂防堰堤の改良に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導の堰堤位置は東西渓流合流点直下に位置する透過型砂防堰堤(格子形堰堤)である。平成29年8月8日の台風5号により下流域へ土砂流出が見られたため,土砂流対策としてリングネット工を設置することとなった.本技術指導は、細粒土砂を捕捉するためにリングネットにより部材間隔を狭くするが、開口部全体をリングネットで覆うと常時流水による土砂も捕捉してしまうため、維持管理の面から下方を空ける必要がある。そこで、鋼製砂防構造物設計便覧の参考資料7を参考に、洪水時に堰上げを利用して貯留できるよう部材間隔を変更した。
2018 老朽化した不透過型砂防堰堤の補修・補強に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、老朽化した不透過型堰堤の補強および流木捕捉機能の付加方法について助言するものである。対象とする施設は、土石流対策技術指針(平成元年)発刊前に施工されたものであり、流木捕捉機能を付加するにあたり、もともと土石流に対応していない上に、50年近く経過した施設は老朽化による材料劣化、土砂および流水の作用による損傷を受けているものもある。そこで、これらの堰堤に対して、現行指針に対応しつつ流木捕捉機能を付加するために、健全度の評価方法、袖嵌入における人工地山の適用、腹付けの考え方、透過構造への改築、張り出しタイプの設置など33基について技術指導を行った。
2018 砂防設備改築設計に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、高知県が実施する既設砂防施設の改築方策検討に対して、技術指導・助言をすることを目的に実施した。対象となる既設砂防堰堤24基に対して、事前チェック、技術指導・助言を実施し、結果をとりまとめた。
事前チェックは、設計受託業務受注者との合同現地調査により実施した。技術指導・助言は、高知県と設計受託業務受注者に対して合同勉強会を実施の上、各対象施設に対して、検討図面や設計諸元の整理結果を基に透過型砂防堰堤へ改築する際の留意点や流木捕捉工の考え方等について指導・助言した。各対象施設への技術指導・助言の結果のとりまとめとして、高知県における既設堰堤の改築の選定フローを作成し、改築に関する考え方を一般化した。
2017 長井川砂防堰堤改良工事業務委託に関する技術指導 砂防技術
研究所
 利根川水系砂防事務所管内の長井川砂防堰堤の断面増厚の工事に加えて,流木捕捉機能を付加することとなった。
この堰堤は満砂状態であり、上流堆砂敷が安定していることから、本体の天端高を変更させず流木捕捉機能を付加する方法として、水通し天端より上流側に流木止めを配置する張り出しタイプの計画捕捉流木量及び設計外力の考え方や計算方法について指導を行った。
2017 片品・吾妻川流域砂防堰堤予備設計業務に関する技術指導 砂防技術
研究所
 利根川水系砂防事務所管内の片品・吾妻川流域の不透過型砂防堰堤に流木捕捉機能を付加することとなった。
この堰堤は未満砂状態であるが、堆砂面の河床勾配は緩い。そこで、本体の天端高を変更させず流木捕捉機能を付加する方法として、水通し天端より上流側に流木止めを配置する張り出しタイプについて、未満砂状態で設置する場合の留意事項を(土石流荷重,本堤との接続方法)について指導を行った。
2016 酸性河川に設置する鋼製透過型堰堤の構造に関する技術指導 砂防技術
研究所
 鋼製砂防構造物はpH4以下の酸性河川においては別途腐食対策を施すことで使用できることになっている。これまでの事例から酸性河川に設置された鋼製透過型砂防堰堤の対策は、主に常時流水が接する柱部材の底版埋込み部近傍にコンクリートを巻き、流水に直接触れないようにしている。しかし、コンクリートは特に耐酸性材料ではないため、根本的な酸性対策ではない。また、巻かれたコンクリートの厚さによっては開口部が狭くなり、透過型堰堤の流水及び土砂の通過を抑止することにもなり、巨礫の衝突により破損する可能性も考えられる。T型スリットは底版コンクリートに加え、袖部にも支点反力をとる3辺固定の構造となっていが、袖部の2辺で支持する構造に改良することで、従来の酸性河川対策の問題点を回避できる。
そこで、構造上の安全性及び土砂捕捉性能について指導を行った。

(2)ソイルセメントに関する技術指導

年度 指導題目 担当部 指導内容
2019 ブラジル国鋼製透過型・ソイルセメント砂防堰堤普及促進事業に関する技術指導 企画部
国際課
 ブラジルでは近年大西洋岸沿いの都市部で土砂災害が多発し大きな被害を受けている。特に、2008年11月にサンタカタリーナ州で、2011年1月にリオデジャネイロ州で発生した土砂災害被害は甚大であった。ブラジルではこれまで土砂災害対策実施の経験に乏しく有効な対策は実施されていない。
本技術指導は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が推進する民間連係事業の一環として、ブラジルにおいて日鐵住金建材株式会社が行っている鋼製透過型砂防堰堤(鋼製スリットダムB 型)およびソイルセメント砂防堰堤(SB ウォール工法)の普及事業に対して、現地活動2回及び本邦受け入れ活動に際して、技術的な観点等から支援を行ったものである。
2019 鶴島土地改良事業検討業務に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、鶴島土地改良区管内で計画されている遊砂地工について、人工地山の施工および砂防ソイルセメントの活用を目的とした設計変更に関する、ものである。遊砂地工検討箇所の左岸側は県道に近接しており、左岸への嵌入が県道に影響を及ぼす恐れがあることから、県道の安全確保を考慮して、床固工袖部は地山に嵌入しないこととし、人工地山を施工する際の留意点についての助言を行った。また、遊砂地工については、砂防ソイルセメント工法を活用する上での留意点についても助言を行った。
2016 十勝幹線No.211鉄塔D脚基礎部土砂流出に伴う調査・対策工事に対する技術指導 砂防技術
研究所
 昨年の北海道における豪雨の影響で,南富良野の送電線の鉄塔の基礎部が侵食され安定性が損なわれた事例があった。この鉄塔の安定性を保持するため,砂防ソイルセメント侵食された箇所を埋め戻すこととした。
しかし,現地は冬期に入るため,配合設計をはじめとする準備期間を設けることが困難で,現地で手配できる土砂も制約があった。
そこで,現地で調達できる土砂に対して適切なセメント添加量及び現地状況を踏まえた含水比など,現地土砂の性状を考慮した砂防ソイルセメントの配合について指導を行った。
2016 流動ソイルセメントの試験施工に関する技術指導 砂防技術
研究所
 長野県下高井郡山ノ内町横湯川(長野県北信建設事務所)において流動性ソイルセメントの試験施工が実施された。横湯川は資材運搬の困難さから,河床の大礫を有効活用すべき現場である。流動性ソイルセメントの施工事例は少なく,試験施工時は豪雪で砂防ソイルセメントの施工に極めて厳しい環境であった。今回の試験施工は冬期(氷点下)で施工したため,余剰水が多いと直ちに凍結融解による品質劣化が顕在化する。
そこで,流動性ソイルセメントの品質確保の妥当性を評価するため施工現場で指導を行った。

(3)砂防計画に関する技術指導

年度 指導題目 担当部 指導内容
2019 蛇尾川流域砂防計画に関する技術指導 砂防部  栃木県大田原土木事務所管内の蛇尾川流域の谷出口から扇状地に至る約13.0kmの区間において、床固工17基、帯工9基、砂溜工1箇所の砂防事業全体計画が作成されている。全体計画は3工区に分けて進められており、昭和63年度から平成16年度にかけて事業を実施した最上流の1工区(L=4.0km)、平成17年度から平成22年度にかけて事業を実施した2工区(L=4.0km)、平成24年度から令和3年度にかけて事業を実施している3工区(L=4.7km)からとなる。既に1、2工区は事業が完了しており、3工区は上流域の施設整備が完了したことから、当初の全体計画で想定していた土砂移動現象と異なる土砂移動に関する課題が顕在化してきている。そのため、3工区の施設配置計画の見直しを行うこととなり、本技術指導はこの施設配置計画の見直しに関する技術的な助言を行ったものである。

(4)地すべりに関する技術指導

年度 指導題目 担当部 指導内容
2017 芋川地すべり対策事業における工事誌の取りまとめ方に関する技術指導 斜面
保全部
 本技術指導は、芋川地区直轄地すべり対策事業の取りまとめの過程で必要となる、地すべり観測・解析等の方針に対する技術指導を実施したものである。
芋川地区直轄地すべり対策事業の取りまとめは、被災から復興までの道のりを取りまとめる「記念誌」と、地すべり対策事業を技術的な視点から取りまとめる「技術記録集」があり、文章や図表の体裁を確認する他、これまで実施された地すべり対策事業の経緯について、両誌の取りまとめ方を指導した。
更に、「技術記録集」では、過去に開催された検討委員会の取りまとめ方にについて設置趣意書の引用方法等を指導した。
2017 早雲山地すべり対策工事に関する技術指導 斜面
保全部
 本技術指導は、「早雲山 拡大域① 北側ブロック」において実施する地質調査業務より得られたボーリングコアから、アンカー支持層の確認観察を行うことを目的として実施した。
観察対象のBV2-7は、表層付近から基岩のCL~CM級のデイサイトが確認され、GL-47mまで連続した状態が確認された。
すべり面相当層はGL-15.5mであったが、調査結果ではGL-15.25~15.45mに脱色化した脆弱部層が確認され、本層がすべり面となりうる可能性が高いことを指摘した(技術指導①)。
また、アンカーの想定定着部付近である、GL-29m付近は既往報告による風化度分類では「W3相当層」に属すると判断され、想定深度でのアンカー定着部では十分な支持力を得ることが出来ると判断した(技術指導②)。
以上の2点の技術指導結果については、書面にて神奈川県に報告した。

(5)技術基準・マニュアル等に関する技術指導

年度 指導題目 担当部 指導内容
2017 砂防技術指針(案)の改訂(案)作成業務 に関する技術指導 砂防部  奈良県土木部では、砂防技術指針(案)の改訂を行っており、本技指導は、改訂される指針(案)の記載内容、他の基準類等との整合性、引用、事例等の妥当性等について照査を行ったものである。現在、運用されている指針(案)は平成12年4月に作成されたもので、策定後既に19年を経過し、以降これまでに、土砂災害防止法の制定や砂防基本計画策定指針(土石流・流木対策編)、土石流・流木対策設計技術指針等が改訂されている。これら指針類の改訂の背景や主旨を踏まえ、奈良県の砂防技術指針(案)に反映すべき事項や内容について、技術的な助言を行った。

(6)数値シミュレーションに関する技術指導

年度 指導題目 担当部 指導内容
2020 福岡県土砂・洪水氾濫対策技術検討会等 に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、福岡県が実施する土砂・洪水氾濫対策について、主にシミュレーションの計算条件設定方法と施設効果の表現方法に関する助言を行ったものである。
福岡県が設置する「土砂・洪水氾濫対策技術検討会」により作成された「河床変動計算を用いた土砂・洪水氾濫対策に関する砂防施設配置検討のガイドライン 計画編(暫定版)」に対して、再現計算により設定する計算条件と一般値を用いる計算条件の区分、また保全対象の設定方法、施設配置の目標などを明確化することを提案した。
2016 北海道駒ヶ岳における融雪型火山泥流数値シミュレーションに関する技術指導 総合
防災部
 北海道駒ヶ岳において、土石流及び融雪型火山泥流を対象に砂原工区、森町工区において泥流調整地を基幹施設とする砂防施設の整備が進められているが、平成4年度に策定された火山砂防基本計画から約24年が経過し、基本となる地形データの精向上に加え、砂防や治山等の設備整備も進められていることから、現在計画されている泥流調整地、導流堤等の位置、範囲等について氾濫シミュレーションにより検証が行われている。
このような経緯から、検証に用いている氾濫シミュレーション(J-SAS)の適用範囲及び施設の効果評価について最新のシミュレーション技術を踏まえて技術指導を受けるよう委託者側から要請されたため、シミュレーション結果に対する見解と計画施設の検討手法等について技術指導を行ったものである。

(7)土石流監視機器に関する技術指導

年度 指導題目 担当部 指導内容
2020 人工地山と床固工および土石流センサの運用に関する技術指導 砂防技術
研究所
 本技術指導は、人工地山による袖部処理の適用および床固工の施工時期の判断に関する助言、並びに砂防工事完了後の土石流危険渓流の監視システム(土石流センサ)の運用について助言を行ったものである。対象となる砂防堰堤は未満砂状態で流水が袖の端部にあたらない不透過型堰堤である。人工地山により、①掘削土量や樹木の伐採量の低減②用地買収に伴う工事期間の短縮③斜面切土工事に伴う安全の確保、といった利点が多く、人工地山の適用性が高いことを助言した。また、床固工の施工時期については、現状で計画範囲に土砂が堆積しており、渓流内の堆積土砂が不安定化する恐れもあるころから、経過観察を継続することを提案した。
土石流センサの運用に関しては、工事中の安全対策としての位置付けであればすべて撤去することが基本であるものの、事情によりセンサが必要な場合として、現在設置されているセンサを必要最小限の数に縮小した運用案を提示した。
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