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設立50周年記念講演
2025年7月29日、砂防会館別館シェーンバッハ・サボー1階「利根」にて、STC設立50周年を記念した講演会を開催しました。
講演会では、東京都立大学都市環境学部の饗庭伸教授より「人口減少時代の地域と砂防」について、国土交通省水管理・国土保全局の國友優砂防部長より「砂防の役割と今後の展望」について、それぞれご講演いただきました。
「人口減少時代の地域と砂防」(東京都立大学 都市環境学部教授 饗庭伸 氏)
現在日本では人口減少が深刻な問題となっています。日本の人口は江戸時代後期からの約150年間はほぼ横ばいでしたが、明治維新後の近代化により急増し、2008年頃にピークを迎えました。その後は減少傾向が続いています。
人口減少に伴い、都市や地域の空間は「スポンジ化」と呼ばれる現象が進行し、空き家や未使用の道路が点在するようになっています。この状況に対応するためには、流域圏を単位とした地域計画が効果的です。砂防や地すべり対策の視点からも、流域内の人々の安全確保と必要資源の確保が重要となります。
今後の都市計画では、土地利用計画、都市施設整備、市街地開発事業などを適切に組み合わせる必要があります。また、市民参加型の意思決定プロセスを取り入れ、砂防や地すべり対策についての理解を広げることも大切です。人口減少時代には、コミュニティの維持や空間の効率的な活用についても検討していかなければなりません。
「砂防の役割と今後の展望」(国土交通省水管理・国土保全局 砂防部長 國友優 氏)
日本の砂防の歴史は江戸時代に遡り、森林伐採により荒廃した山林からの土砂流出が頻発していました。幕府や藩は植林や砂防堰堤の設置など先進的な取り組みを行っていました。明治期には「治水三法」が整備され、近代的な砂防事業が本格化しました。
大正時代になると、砂防は防災だけでなく地域創造にも貢献しました。例えば山梨県勝沼市では砂防堰堤の整備によって水はけのよい耕地が増えたことで、日本有数のブドウ産地に発展しました。戦後は更に法整備が進み、砂防の役割は徐々に拡大しました。
近年、気候変動による災害の激甚化や、地震と大雨が重なる複合災害、さらに人口減少という新たな課題に直面しています。これからの砂防は、画一的な対策ではなく、まちづくりと連携することが不可欠です。地域住民との対話を通じて、生活や産業の重要拠点を集中的に守り、安全で豊かな国土を形成していくという、より大きな役割を担っています。
砂防・地すべり技術センター50年史「土砂災害に挑む」
砂防・地すべり技術センター(STC)の設立50周年を機に、その歩みと技術の展望を体系的にまとめた記念誌です。
STC創成期から拡充・飛躍期までの組織の発展、砂防・地すべり・火山砂防など各分野の調査研究の変遷、災害対応の記録や構造物・流木対策・シミュレーション・無人化施工・水理模型実験・現地観測などに係わる技術的な取り組みについて掲載しています。また、中長期計画や今後の重点課題、国際協力や技術評価の紹介も含み、今後に向けた砂防技術の指針を示しています。
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これまでの50年の火山砂防の技術
この書籍は、富士山や桜島、雲仙岳などで培った半世紀の火山砂防に係わる知見と最新技術を体系化した技術資料です。
火山活動の特性を踏まえ、調査・数値シミュレーション技術からハード・ソフト対策、無人化施工や砂防ソイルセメントなどの開発成果までを網羅し、噴火前・噴火時・噴火後の計画立案に役立つ実務的内容となっています。日本に111存在する活火山のうち、49の火山で策定が進む火山噴火緊急減災対策砂防計画にも即した内容となっています。
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