当センターの職員が「2025年度日本火山学会研究奨励賞」を受賞しました

当センターの職員が「2025年度日本火山学会研究奨励賞」を受賞しました。
受賞者: 志水 宏行(砂防技術総合研究所 主任研究員)
受賞対象:二層重力流モデル構築による火砕流のダイナミクスと堆積物に関する理論的研究
授賞理由:
志水氏は、噴火災害で最も脅威とされる火砕流について、流動から定置までの一連の過程を統一的に包含した物理モデルを構築する理論的研究に取り組んできた。志水氏は、構築した二層重力流モデルを用いて、火砕流堆積物の特徴を決定する物理過程を明確化し、それらの噴火強度や噴火様式への依存性を明らかにした。また、国際的な火砕流研究コミュニティが主導する「火砕流モデルの妥当性確認とベンチマーキング」の枠組みにおいて構築したモデルの妥当性確認を行い、火砕流モデルの予測性能評価における新たな基準を示した。志水氏が構築した火砕流の二層重力流モデルは、国内外における認知度が高いというだけでなく、物理モデルを地質学的な情報である堆積構造と定量的に結びつけたという点で分野を超えた波及効果があり、将来の更なる発展が期待される。志水氏の一連の研究成果は、火砕流の物理的理解を大きく深化させるとともに、火山防災への応用においてハザード評価の予測性能向上に大きく貢献するものである。
◆受賞のコメント
このたび、日本火山学会研究奨励賞を賜るという栄誉にあずかりましたこと、大変光栄に存じます。これまでご指導・ご助言を賜りました諸先輩方ならびに共同研究者の皆様に、心より感謝申し上げます。特に、火山学研究の道を切り拓くきっかけを与えてくださり、研究者としての基礎を築く上で多大なるご指導を賜った小屋口剛博先生に、この場を借りて深く御礼申し上げます。
本賞は、火砕流のダイナミクスと堆積過程を統一的に記述する数値モデルを構築し、その妥当性を既存の大規模実験との比較検証を通じて実証した一連の研究成果に対して授与されたものです。これらの研究は、火砕流における物理過程の理解を深化させるとともに、ハザード評価や防災対策の前提として不可欠な予測性能の客観的評価手法の確立にも資するものとして評価されました。
現在、私は当センターにおいて、火砕流だけでなく、土石流や泥流などを含む多様な粒子重力流災害に関する研究・開発に従事しております。本受賞を励みとして、今後は学術的な探究にとどまらず、防災の現場で実際に活用される知見の提供にも注力し、より一層の社会的貢献を果たしてまいりたいと考えております。
引き続き、実践的かつ先進的な研究活動を通じて、我が国の土砂災害対策の推進に寄与できるよう、精進してまいります。

授賞式の様子(前列向かって右から2人目が志水主任研究員)
参考リンク:日本火山学会研究奨励賞 (NPO法人 日本火山学会 ホームページ)
https://kazan-g.sakura.ne.jp/J/page_tpl_236.html
https://kazan-g.sakura.ne.jp/J/doc/awards/VSJ_Young_Scientist_Award/35.html
