技術戦略研究室
技術戦略研究室は、一歩先、百歩先を見据えた砂防事業の在り方を考える部署です。砂防事業を世の中の様々な活動に戦略的かつ有機的に結び付けていくことが大きな役割であり、技術開発だけでなく、制度や社会の慣習、新たなコミュニティの創造といった多様な要素との連携を重視しています。
研究の方向性のキーワードは、森林・生態系の保全、国立公園や国定公園など景勝地の保全、地域の伝統・歴史・文化の継承、内需・外需を支える観光地の保全、人の交流と物流を支える道路網・交通網の保全。これらの保全が永続的なものとなるための山地流域の保全活動の在り方。このようなキーワードを取り巻く社会状況、利害関係者、住民生活、経済活動などを注視しながら砂防が果たす役割を研究しています。
取り組み
砂防の技術・管理に関する研究会
今後、激甚化する土砂災害に対して、砂防における調査~維持管理、指定地管理、警戒避難、流域管理等に関する技術等を進展させ、さらに効果的な問題解決につなげるため、これからの山地流域における砂防に関する技術や管理の在り方について研究を行うため、「砂防の技術・管理に関する研究会」を設置しました。
委員
◎:座長 〇:副座長
令和8年5月11日時点
| | 氏名 | 所属 | 役職 |
|---|---|---|---|
| ◎ | 佐藤 保之 | 国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部 保全課 | 砂防施設評価分析官 |
| 〇 | 吉村 元吾 | 国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部 砂防計画課 | 砂防計画調整官 |
| 伊藤 誠記 | 国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部 砂防計画課 | 地震・火山砂防室長 | |
| 西尾 祐香 | 国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部 砂防計画課 | 砂防管理支援室長 | |
| 今森 直紀 | 国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部 砂防計画課 | 土砂災害防止技術推進官 | |
| 山本 悟司 | 国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部 保全課 | 土砂災害対策室長 | |
| 石井 陽 | 国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部 保全課 | 土砂・洪水氾濫対策官 | |
| 大坂 剛 | 国土交通省 国土技術政策総合研究所 土砂災害研究部 | 部長 | |
| 判田 乾一 | 国立研究開発法人 土木研究所 | 土砂管理研究グループ長 | |
| 五十嵐 勇気 | (一財)砂防・地すべり技術センター 砂防部 技術課 | 課長 | |
| 小林 拓也 | (一財)砂防・地すべり技術センター 総合防災部 技術課 | 課長代理 | |
| 枦木 敏仁 | (一財)砂防・地すべり技術センター | 理事兼砂防部長 | |
| 佐光 洋一 | (一財)砂防フロンティア整備推進機構 企画調査部 | 次長 | |
| 千葉 幹 | (一財)砂防フロンティア整備推進機構 研究第一部 | 次長 | |
| 山本 悟 | (一財)砂防フロンティア整備推進機構 | 理事長付部長 |
(組織順)
事務局
| 氏名 | 所属 | 役職 |
|---|---|---|
| 冨田 陽子 | (一財)砂防・地すべり技術センター 企画部 | 部長 |
| 植野 利康 | (一財)砂防フロンティア整備推進機構 研究第一部 | 部長 |
| 蒲原 潤一 | (一財)砂防フロンティア整備推進機構 研究第二部 | 部長 |
災害発生時の流木処理費用に関する事例調査報告
(後藤・飯田・関戸・宮瀬・伊藤・森田・冨田 2024 砂防学会)
本研究は、砂防事業評価において災害時の流木の撤去・運搬・処理費用を算出するための参考値について、近年の土石流発生事例を基に分析し提案したものです(表3)。

国土交通省砂防部との連携会議のもとで流木の撤去・運搬・処理に関する具体的な事例を6つ収集し、単位重量当たりの費用を比較しました。その結果、撤去費用に係る単価の参考値について示すことができました(25,001円/t)。一方、運搬費用については、処理場までの距離や車両の積載能力で異なること、また、処理費用については、処理方法の違いが大きく影響し、特に土砂が混入した流木の処理コストが高いことから、参考値の設定を行うことはできませんでした。
広域で発生した土砂災害の被害把握手法について
(宮城・枦木・冨田・髙橋・岩男 2025 砂防学会)
大規模地震等により広域かつ同時多発的に斜面崩壊や地すべりによる土砂災害が発生した場合、その被害実態を迅速に把握することは、災害への初動対応や迅速な復旧・復興に繋がるため重要です。近年、情報が充実しつつあるオープンデータを活用して、早期かつ簡易に被害状況を把握することを試みました。
令和6年能登半島地震での斜面崩壊・堆積域(2,345箇所)のうち、道路や建物などの保全対象に重なる箇所は683箇所でしたが、公表されている土砂災害発生件数と比較すると約300箇所多く抽出されました。土砂災害発生箇所数が公表件数よりも多く抽出された要因としては、保全対象として用いている基盤地図情報の「建築物」データに小屋等の非住家も含まれることや各種データの縮尺の影響が考えられます。今回の試行では被害把握に要した時間は、オープンデータのダウンロードから抽出完了まで半日程度でした。
オープンデータの精度等により実際の土砂災害発生件数よりも多く抽出される結果となりましたが、初動対応における絞り込みには有用であること、また、抽出結果をタブレット等で共有することにより現地調査での活用も考えられます。
保全対象の詳細な情報や砂防関係施設の位置情報など、重ね合わせに必要な情報を事前に整備することで、大規模災害時の被害状況の把握を迅速かつ簡易に行うことができると考えます。

図 オープンデータを用いた抽出結果
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