『平成20年度 砂防地すべり技術研究成果報告会』を開催しました。

 11月14日(金)、砂防会館別館シェーンバッハ砂防(東京都千代田区)において、『砂防地すべり技術研究成果報告会』を開催致しました。
 国土交通省・都道府県、公益法人・民間企業等より208名の方々にご参加いただきました。ここに改めてお礼申し上げます。
 なお、本報告会の発表論文集は当センターにて頒布しております。詳細はこちらです。

【開会挨拶】
砂防・地すべり技術センター
理事長 池谷 浩

【来賓挨拶】
国土交通省砂防部
部長 中野 泰雄 様

【発表1:積雪・融雪に起因した土砂生産の事例とその予測手法の検討】
岩手大学 准教授 井良沢 道也 様

(講演概要)
  積雪地帯では、1999年に発生した秋田県八幡平澄川の大規模地すべりをはじめとして、融雪に起因する地すべり・崩壊・土石流が頻繁に発生する。しかしながら融雪に起因する土砂災害の予測手法は確立されていない。 そこで、2004年新潟県中越地震以降に発生した融雪による土砂災害を分析するとともに、1週間先の気象予測情報を用いた融雪による土砂災害の予測手法について検討した。
 検討の結果、簡易熱収支法と天気予測情報を組み合わせた手法により、実用レベルの予測が可能であることが分かった。今後は天気予報を用いた融雪水量の短期・長期予測の検討が望まれる。

【発表2:保護されたエリアでの山腹崩壊発生地における自然環境の再生に関する研究】
広島大学大学院 准教授 海堀 正博 様

(講演概要)
 広島県西南部に位置する宮島の白糸川において、平成17年の台風14号により土石流が発生した。 これに伴い、早期の安全対策が望まれているが、 当該地区は、天然記念物「弥山原始林」に属するだけでなく、世界文化遺産の指定範囲にも含まれており、自然への改変、家屋や施設、設備の現状改変等は厳しく制限されている。
 このような場で崩壊地の安全を確保するための早期の自然再生について、その考え方や手法の妥当性の研究を行った。
 研究の成果は、砂防学的、地質学的、粘土鉱物学的な観点から取りまとめるとともに、自然回復に関する基礎調査から明らかになった点について報告を行った。

【発表3:砂災害警戒区域等における斜面動態モニタリング゙手法の高度化に関する研究】
高知大学 教授 笹原 克夫 様

(講演概要)
 個別斜面の崩壊発生時期を予測するために、降雨浸透に伴う斜面土層のせん断変形を再現する土質力学モデルを提案している。 今回は、モデルの精度向上を図るために、サクション(土壌水分吸引水頭)とボンド応力の関係を、土壌水分特性で決定される軽部モデルにより評価した。
 改良モデルを現地実測データに適用した結果、土壌水分特性が斜面挙動(とくに地表面変位)に影響を与えることを、比較的良好に定量的に再現できた。

【発表4:不飽和堆積物上の土石流の発生・発達に関する研究】
立命館大学 教授 里深 好文 様

(講演概要)
 流水の浸透による渓床堆積物の飽和度の変化は、土石流の発生・発達過程に大きな影響を及ぼすと考えられる。しかし、従来の土石流の発生・発達予測においては、渓床堆積物への浸透や堆積物の飽和度の時間的変化は無視されていることが多い。 そこで本研究では、渓床堆積物の不飽和浸透過程と土石流の発生・発達過程の両者を同時に数値解析する計算モデルを構築し、数値シミュレーションによる解析を行なった。
 本モデルによる解析の結果、堆積物への浸透や湧き出しが土石流の発生・発達過程に大きな影響を及ぼすことが確認された。また現地計測を実施し、降雨時における不飽和浸透の状況に関して情報を得る事ができた。

【発表5:地下水が存在する緩勾配斜面の地震応答に関する実験的研究−土質特性の観点からの比較検討−】
京都府立大学大学院 教授 松村 和樹 様


(講演概要)
 2003年5月26日に、宮城県沖を震源とする地震により、宮城県栗原市築館町館下地区において、勾配10度のシラスの谷埋め盛土が崩壊・流動化した。 本研究では、斜面模型に地震外力を与えることで、流動化過程の再現、間隙水圧の変化及び加速度との崩壊発生の関係を検討した。
 その結果、条件に応じて崩壊形態が3タイプに分類されること、シラスとマサ土では間隙水圧の上昇メカニズムが異なること、水圧を考慮した場合に安定解析における安全率と現象が一致することがわかった。

【発表6:平成20年岩手・宮城内陸地震による土砂移動実態】
砂防・地すべり技術センター 砂防部部長 古賀 省三

(講演概要)
 平成20年6月14日に岩手県一関市を震源とするマグニチュード7.2,最大震度6強の地震により, 岩手県・宮城県を中心に約3500箇所の崩壊・地すべりが発生し,一部の土砂は河道に流れ込んで河道を閉塞させるなど,甚大な被害が発生した。 当センターは、土砂災害対策技術検討委員会の委託を受け、現地調査を含む分析により地震による土砂移動の実態把握を行った。 また、今後想定される土砂移動現象を地先的現象と水系的現象に分類して整理し、水系的な被害については一次元河床変動計算によりその氾濫被害を想定した。
 今後の留意点としては、土砂移動モニタリングの実施や、斜面崩壊及び地すべり地の詳細調査が挙げられる。

【閉会挨拶】
砂防・地すべり技術センター
砂防技術研究所長 松井 宗廣

当日の会場の様子

 


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